春の詩集

大切な本の一つに『春の詩集』(ヒロイヨミ社)という、昔の詩人たちの春の詩が数篇載っている詩集がある。装幀も春の装いのような柔らかな雰囲気で、本文も余白が贅沢に使われている。印刷は活版印刷で、ほのかなかすれも春らしく思える。選ばれている詩人は、中原中也や大手拓次、国木田独歩、立原道造など、叙情的な作風の作家たちが並ぶ。本の厚み自体はなく、その薄さや紙の手触り、デザインの一つ一つまでが儚さを醸し出し、触れることさえも躊躇われるような繊細な姿をしている。こんな世界にいられて、詩たちもきっと嬉しいだろうなと思う。

自分がもし作品集をつくるとしたら、ということを最近よく考える。詩なのか、写真なのか、童話なのか、どんな形がいいか、そろそろちゃんと具体的に進めていきたいなと思う。