催花雨

今年の春は物凄く寒い。もう桜が咲く時期なのに、いつもの春以上に寒さが残っている。ずっと雨や曇天模様なので気分も落ち込むし、体の重さもいつにも増している。月もしばらく見ていない。この数日は、深い水の底に沈んで横たわっているようだった。

ただ、季節の事柄に関する表現で、この春の雨の日々を表す好きな言葉に「催花雨」という表現がある。催花雨は、ちょうど毎年この季節に降る長雨を指し、春にかけて菜の花や桜のような色々な花が咲くように促す雨、ということに由来している。菜種梅雨という言い方もあるが、催花雨のほうが広く色々な花まで包んだ言葉だから、そちらのほうが個人的には馴染みやすい。この催花雨という表現一つで、身も心も弱っている今も、別の存在にとっては欠かせない大切なものなんだと思えてくる。

今朝、久しぶりに晴れ、桜の木を見に行ったら、まだ一つ二つと数えるほどながら小さく花が咲いていた。