春のせみのような

いつまでも寒さが残ってるなぁと思っていたら、今日はものすごく暑くて、夏のように日差しも厳しかった。桜はもうだいぶ散ってしまっている。小鳥が花の蜜を吸っているのか、桜の花の周りで甲高く鳴いていた。ベンチで少し休んでいたら、…

花の蜜を吸う子供

めまいがひどくて横になっていたら、窓の向こうから鳥たちのさえずりが聴こえてきた。その音色は、めまいのときでも灰色の膜を通り抜けて真っ直ぐに伝わってくるようだった。 それから、少しだけ外を歩いた。桜はもうだいぶ散り始めてい…

人が恋におちる瞬間をはじめてみてしまった

羽海野チカさんの漫画が好きで、特にハチクロは、大学時代によく読んでいた。美大の学生で主人公の竹本くんが、北海道に自転車で一人旅に行くという場面があって、そのことに触発されて、さすがに自転車では行けなかったものの、鈍行で東…

なくした靴下

冬の間に靴下を片一方だけなくした。もともと靴下はよくなくしてしまうものの、部屋のどこかにはあるので、大抵はすぐに見つかる。でも、この冬になくした靴下は、もう何ヶ月も経って、ときどきちゃんと掃除もしているのに、ベッドの下も…

春と男の子

この春はいつまでも寒い、と言っていたのが嘘のようにすっかりと春の陽気で、隣のアパートの敷地にはたくさんのたんぽぽも咲いていた。たんぽぽは、ほのかに吹く優しい風に揺れていた。 ぼんやりと座って、咲き始めた桜を眺めていたら、…

最近聴いている音楽

森ゆにさんの「砂浜で」という曲を最近よく聴いている。『solitary』というアルバムの2曲目で、優しい曲と優しい歌声に乗って、「おだやかな日々の話をしよう 浜辺に腰かけて ひとりで泣いた夜の思い出を」と始まる。 誰かの…

催花雨

今年の春は物凄く寒い。もう桜が咲く時期なのに、いつもの春以上に寒さが残っている。ずっと雨や曇天模様なので気分も落ち込むし、体の重さもいつにも増している。月もしばらく見ていない。この数日は、深い水の底に沈んで横たわっている…

春の詩集

大切な本の一つに『春の詩集』(ヒロイヨミ社)という、昔の詩人たちの春の詩が数篇載っている詩集がある。装幀も春の装いのような柔らかな雰囲気で、本文も余白が贅沢に使われている。印刷は活版印刷で、ほのかなかすれも春らしく思える…

今日のこと

日中は暖かかった。干してあった洗濯物のタオルに、小さなクマバチなのか、アブなのか、黒と黄色の虫がとまっていた。夏場に見るよりもずっと小ぶりなので、まだ子供なのかもしれない。茶色いタオルに、ぴたっと一匹でくっついていた。最…

ゆうれい犬と街散歩

寒い日が続いている。雨がぽつぽつと降ることも多く、洗濯物がなかなか干せないし、体も重たい。あと一か月もすれば桜が満開で散っていってるなんて、想像もつかないなと思う(たぶん毎年思っている)。 最近読んだ漫画の話。中村一般さ…