今日のこと

日中は暖かかった。干してあった洗濯物のタオルに、小さなクマバチなのか、アブなのか、黒と黄色の虫がとまっていた。夏場に見るよりもずっと小ぶりなので、まだ子供なのかもしれない。茶色いタオルに、ぴたっと一匹でくっついていた。最近、ぽつぽつと虫たちの姿を見かけるようになった。

昼過ぎ、誰もいない広場のベンチに座って、読み物を読んだり、空を眺めたりしていた。途中、一人の女の人が自転車に乗ってやってきて、離れたベンチに座った。静かな時間が流れていた。なにか枝の折れるような物音がして、音のほうに目を向けると、まだ寂しくも、見えない生気に満ちているような、日の光を浴びている桜の木の枝先に、一羽のカラスがいた。カラスは、枝の上を器用に移動しながら、ときどきついばむように枝をつついている。しばらくして、一本の小枝をくわえたまま、どこかへ飛んでいった。

夜、『つつんで、ひらいて』という装丁家の菊地信義さんのドキュメンタリーを観た。紙の色味とフォントが美しかった。それぞれの世界の人の表情があった。