なくした靴下

冬の間に靴下を片一方だけなくした。もともと靴下はよくなくしてしまうものの、部屋のどこかにはあるので、大抵はすぐに見つかる。でも、この冬になくした靴下は、もう何ヶ月も経って、ときどきちゃんと掃除もしているのに、ベッドの下も…

春と男の子

この春はいつまでも寒い、と言っていたのが嘘のようにすっかりと春の陽気で、隣のアパートの敷地にはたくさんのたんぽぽも咲いていた。たんぽぽは、ほのかに吹く優しい風に揺れていた。 ぼんやりと座って、咲き始めた桜を眺めていたら、…

最近聴いている音楽

森ゆにさんの「砂浜で」という曲を最近よく聴いている。『solitary』というアルバムの2曲目で、優しい曲と優しい歌声に乗って、「おだやかな日々の話をしよう 浜辺に腰かけて ひとりで泣いた夜の思い出を」と始まる。 誰かの…

催花雨

今年の春は物凄く寒い。もう桜が咲く時期なのに、いつもの春以上に寒さが残っている。ずっと雨や曇天模様なので気分も落ち込むし、体の重さもいつにも増している。月もしばらく見ていない。この数日は、深い水の底に沈んで横たわっている…

春の詩集

大切な本の一つに『春の詩集』(ヒロイヨミ社)という、昔の詩人たちの春の詩が数篇載っている詩集がある。装幀も春の装いのような柔らかな雰囲気で、本文も余白が贅沢に使われている。印刷は活版印刷で、ほのかなかすれも春らしく思える…