なくした靴下

冬の間に靴下を片一方だけなくした。もともと靴下はよくなくしてしまうものの、部屋のどこかにはあるので、大抵はすぐに見つかる。でも、この冬になくした靴下は、もう何ヶ月も経って、ときどきちゃんと掃除もしているのに、ベッドの下も、本棚の裏も、洗濯機の周辺を探しても、一向に見つからない。靴下が、一体どこへ消えることがあるのか、全く見当もつかない。数年前の年始に立てた目標も、靴下をなくさない、というもので、これまでは辛うじて目標を達成してきたものの、ついに本当になくしてしまったみたいだ。

これだけ家中を探しても見つからないということは、もしかしたら、洗濯物を干したときに、強風によって飛ばされてしまったのかもしれない。リモコンと靴下は、昔からよくなくしていた。リモコンは、まだ外に干すことはなく、間違って捨てることもない。だから、必ず見つかる、という安心感がある。一方で、靴下は、場合によっては、ということがあるから、なんとも言えない。

こういったことが、子どもの頃から苦手だった。こういったこと、というのは、たとえば机の中の整理のようなことで、小学生の頃も、机の中がごちゃごちゃになって探し物が見つからない、ということがあった。亡くなった祖母にも、「使ったら、もとあった場所に戻しておけばなくさないでしょ」とよく注意されていた。この辺りは、ずっと変わらない。

なんとなくのイメージからか、周りの人からは整理をしっかりしているような印象も持たれる。でも、全然そんなことはなく、部屋も、汚くはない、といった程度で、どうしても使ったものや読んだ本を出しっぱなしにして部屋や机の上がごたごたしてしまうことも多い。だから、いつもきちんと整理されて綺麗な部屋を見ると、自分が到底できないような凄い才能を見せられているような気さえしてくる。

冬のあいだになくした靴下は、春になっても見つからなかった。でも、もしかしたら、ひょんなことから姿を現すかもしれない。そんな風に思うと、残されたもう片方の靴下も、なかなか捨てられずにいる。