今日のこと

もう二月も終わるんだなと思ったらちょっとたじろいだ。一瞬でここまで移動したかのようで、記憶もあまりない。でも、寒さが和らいでいくのはありがたいなと思う。

今日も暖かい風が吹いて、すっかり春のような穏やかさだった。明日からまたぐんと冷え込むようなので、今のうちにと思って外を歩き、春に向かって準備万端の様子の桜の木を眺めた。そして、目の前の幹にそっと触れたら、その確かな感触に少し生きる力をもらったような気がした。遊んでいる子どもの声や、木々や土や流れる雲に、励ましてもらっているような感覚で日々を生きている。

人は一人では生きていけない、というのは、ことあるごとに実感するものの、年々、そのことの奥深さが分かっていくような気がする。

人として、弱いながら、辛うじて生きている、というのは、決して卑下しているわけでもなく、本当に、そんな風に生きていく以外にないんだろうな、と。それから、美しいものを信じたいのは、美しいものを残そうとするのは、美しくない自分を抱えているからではないかと、そんなことを思ったりもする。そして、そんなことがなくてもただ美しい木々や花を思うと、つくづく敵わないなと思う。